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それは ヒトツの センタク

そのサキにマツ オオキナキフク

 

 


 

全てを覆い尽くす夜の闇。

それを打ち消すように、遠くに見える山より昇る光り。

世界は新たに産まれ出でる太陽に照らされ、今日という日の始まりを知る。

始まりを祝福するかのように流れる風は緑色濃い草原を駆け抜け

そこに眠る少年を優しく撫でる。

その少年の肌は、草花を支える土と同じ褐色の肌をしており

その頭皮より生える髪は、生まれたばかりの「若草」と同じ色をしていた。

 

まるでその少年が、この大地の一部であるかのように思えてしまう程に

余りにも自然に調和していた。

 

しかしその調和も、その少年の目覚めによって破られてしまう。

 

まだ寝足りないのか、その目は半分しか開いていない。

その目を開けるかのように、右の手で両の目を擦り、上体を持ち上げる。

ふと、何かを思い出したかのように傍らの大地に目を向ける。

そこにはその少年の肌と同じ色をした大地と

その少年の髪と同じ色をした草しか生えていない。

昨晩を共にしたそれは、すでにその姿を消していた。

少し寂しそうな顔をするが、すぐにいつもの感情の無い表情へと戻る。

その少年はその場に立ち上がる。

顔を洗い、麻袋に入った少ない手荷物と傍らに置いた

自身の身の丈よりも巨大な大剣を引っつかむと、いつも通い積めた道を行き

いつも行く村へとその歩を進めていく。

お金を稼ぐために。

 

朝の仕事を済ませ、昼食として買ったパンを齧り

正午から頼まれている仕事先へと歩を進めている時だった。

いつも慌ただしいこの時間だが、いつもと少し様子が違う。

人々は手に獲物を持ち、放牧場のある山へと走っていく。

その多くは、ここに住む原住民では無く、その少年と同じ

 ソウルストリームより訪れる者達

であった。

たまたま近くを通ったその冒険者に事の次第を聞くと

その少年も放牧場のある山へと走っていくのであった。

 

巨大な 黒い 狼 が出た。

 

足元は次第に整地から石や植物の見える荒地へと姿を変え

近づくにつれ、刃が重なる独特の金属音が響く。

襲い来る黒いの狼達を蹴散らし 前へ 前へ と進むと そこにそれはいた。

自身の背丈の優に倍以上あるその巨体を唸らせる闇を思わせる黒い体毛を持つ狼が一匹。

周りには少し大きく、その巨大な狼と同じ、黒い体毛を持つ無数の狼達。

 

その黒の中を 右に 左に 動く小さな一つの影。

それは 少し汚れた 赤に近い褐色の体毛を 血で更に赤く汚した 仔狐。

 

自身の背丈よりも遥かに大きな狼達を、時にはいなし、時には受け流し

確実に一匹づつ仕留めていく。

強い、その仔狐は独りで生きていけるだけの強さ以上の強さを持っている。

しかしその仔狐の顔には、疲労の色を湛え、足取りはすでに覚束無い。

その少年は状況を察し 即座に短く 言葉を紡ぐ。

 

「全てを焼き尽くす 熱く 赤い 火球」

するとその少年が手にしていた大剣に炎が宿った。

その大剣を右から左に袈裟懸けに薙ぐと、その大剣に宿った炎が大剣を離れ走る。

その先にいる、今にも飛び掛ろうと身構えた黒い狼へと、炎は走り、黒い狼の身を焼く。

突然の乱入者に驚く黒いの狼達の傍へとすぐに移動すると

手に持つ大剣を大上段に構え、その身を左へと回転させる。

その際に大上段に構えた大剣を右から袈裟懸けに薙ぎ、遠心力を利用し

仔狐の周りへと殺到していた黒い狼達を一瞬でいなす。

回転が止まると、即座に巨大な黒い狼へと切っ先を向ける。

しかし視線は仔狐へと向かっていた。

仔狐はその少年の登場に驚いた様子で、しかしその身はかなりの疲労のためか震えている。

その少年は改めて周りを確認する。

 

先程倒した黒い狼が地に伏し

炎に焦がされた黒い狼が、炎を消そうとその場に転げ周り

その黒い狼達に敗れたであろう、武装した人々

その狼にボロ雑巾のようにされた赤が目立つ羊達

仔狐と同じ色の体毛をした、たくさんの狐達。

 

心の中から、黒いモヤのようなものが噴き出すような錯覚を、その少年は感じた。

その巨大な黒い狼へとその少年は駆ける。

待ち受けるかのように

巨大な黒い狼は、右の前足を持ち上げると、その少年を薙ぎ払おうとする。

それをスライディングの要領で避け、大剣の間合いへと移動すると

スライディングの勢いを殺さぬよう、大剣を振るう。

斬撃が巨大な黒い狼を襲う。

その狼は少しひるんだ程度ですぐに第二打を行おうと

再び右の前足を持ち上げ、即座に叩き降ろす。

間一髪でその攻撃を大剣で受け止めるが、その巨大な体重を持ち上げるだけの力が足りず

そこから立ち直すまでには至らない。

巨大な黒い狼は、その少年を潰さんとするかのように、全体重を右の前足へと掛けていく。

『このままではマズイ』

その少年の顔に焦りの色が募る。

と、そのとき、急に圧力が引くのを感じた。

その機を逃さず、右前足を払い、状況を確認する。

圧力から開放された原因を作り出したのは、仔狐によるその狼への体当たりであった。

しかしそれも、その巨大な黒い狼を少しひるませるだけに終わる。

その少年を庇ったその体制から、上手く立ち直す事が出来ないまま

巨大な黒い狼からの薙ぎ払いを、その身にモロに受け止めてしまう。

 

仔狐は その薙ぎ払いを受け 大きく宙を舞う

そして 無防備のまま その身を 大地に 強かに 打ち付ける

 

心の中で生まれた 黒いモヤは いつの間にか その少年の身を 包み込んでいた

 

悔しさ 悲しさ 怒り

 

そういったものが そのショウネンの スベテを ツツミコム

 

その異変に気づいた巨大な黒い狼は、その視線を、その少年へと移す。

しかし時すでに遅く、その少年は動いていた。

 

素早く正面進み左前足を左から水平に払い

返しの刃で右上段から左下段へと袈裟懸けに斬り

その勢いで左へと進み出て首を右寄りに上方へと振るい

胸部を右からの斬撃を見舞い

右腹部を左より大剣にて襲い

更に前へと出る勢いにて右のスネを右からの一閃で傷付け

振り向き様に大上段へと構えた大剣を刃を振り回すように軌道を変え右足の腱を薙ぐ

 

一連の動作が終わると、そこには右半身を血塗れにした巨大な狼が、右へと倒れるように

しかし倒れぬように踏ん張っていた。

 

最後の止めを刺そうと動くその少年を、その狼は咆哮しそ

れにて呼び出した多数の黒い狼達によって、押さえ込もうとした。

しかしそれも、先程複数の狼を薙ぎ払った回転斬りによって全ていなされる。

 

体制を整えようとしていたその少年へと襲い掛かろうとする巨大な黒い狼。

しかしその攻撃も、突然の闖入者によって行われた体当たりにて妨害される。

 

その闖入者とは、その巨大な黒い狼と同様の大きさをした

その巨大な黒い狼とは対照的な

綺麗な真っ白い毛並みを持つ

巨大な白い狼。

倒れ伏した巨大な黒い狼の頭部を右前足にて押さえつけ、進み出ようとしたその少年を

睨み付け、押さえつける。

その巨大な白い狼の持つ、独特の雰囲気が、その少年に歩を進ませるのを拒ませている。

 

内より出だされる黒いモヤが進めと欲し、理性が進むなと即す。

「すまないな」

そのときそう、頭の中で声がした。

幻聴かと思ったが声はまだ続く。

それは、目の前にいる巨大な白い狼のモノとしか思えない程に。

「我が眷属が迷惑をかけたな。

 しかし、こやつが魔族へと落ちた一因はトゥアハ・デ・ダナンにもある。

 それを知ってトゥアハ・デ・ダナンを支持するのか?

 この世界にはトゥアハ・デ・ダナンだけでなく、多くの種族がいる。

 よく考える事だなミレシアンの子よ」

 

そう言うが早いか、周りに白い霧が立ち込め出した。

あっという間に、辺りは白い霧にて視界がまったく効かないようになってしまった。

程なくして霧が晴れると、そこいた狼達の姿は無かった。

 

その少年は辺りを忙しなくキョロキョロと見やる。

そしてその視界に傷付いた少し汚れた赤に近い褐色の仔狐を見咎めると

一目散に駆け寄る。

 

息はまだある。

慌てて抱き起こすと、村へと走り出した。

 

辿り着いたヒーラーの女の人に仔狐を預ける。

急を要する状況ではあったが、治療が早かったため、一命を取り留めた。

しかし数日の入院の必要があると告げられる。

その少年はヒーラーの女の人に代金を渡すと、いつも寝床にしている草原へと向かった。

 

 

宵闇が世界を包み込む中、焚き火の明かりでその少年は

先程届いた手紙を読んでいた。

 

それは村からかなりの距離にある、商業都市の冒険者ギルドからの手紙であった。

今回の巨大な黒い狼の事もあり、それを目にした者に無差別に届けられた物だという。

 

その少年は その日 村を離れる決意を 抱いていた

 

 

 

 

 

コメント:本当はもっとちゃんとした形で書きたかったのですが

     書いてる内にこんな陳腐なものになってしまった・・・・

     どうしたものか

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