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色も形も光も、それゆえ闇すらも無い、何もない。

ここはそういう場所。

そこに知性を持った何かが一つ、降り立った。

そのモノ自らの体を一欠片取り出し、それを手放すと辺りは閃光に包まれる。

それは次第に薄れ、やがて燃え盛り、太陽となった。

そしてまた自らの体を一欠片取り出し、それを手放すと一つの星が生まれた。

その星は、先に生まれた兄である太陽に近付こうと寄り添うが、あまりにも暑くて近寄れない。

故に星は太陽の周りを回りながら、兄に近付こうと暑くない場所を探す。

次第に星は疲れだしたのだろうか、少しずつ動きを緩めていく。

これを見て知性を持ったそのモノは、同様に数多の星を作り始めた。

そしてその知性を持ったモノは疲れたのか、一つの星にしばらく腰を落ち着ける事を決めた。



その星は、ただ荒れた大地が広がっているなんとも寂しい場所でしかなかった。

知性を持ったモノはその姿を見、また自らの体の一欠片を取り出すと空へと放り投げた。

その欠片は雲を作り星を覆うと、大地を洗い清めるために雨を降らせた。

たちまちに世界は水に覆われる。

知性あるものは同様の事を他の全ての星で行っていくことを決めた。

ある星では水が干上がり、またある星では水が凍り

またある星では水が星を縦横無尽に回り続けるだけであった。

太陽に近い星から次第に雲が晴れていき、遠い星になる程、雲が残り続け

仕舞いには雲が大地を覆いつくす星が生まれた。



そして太陽が光を照らし、熱を放ち、水を干上がらせる星が現れた。

しかし一つは暑すぎてしまい水が全て消えてしまい

また一つは寒すぎてしまい水が全て凍ってしまう。

そんな中でも水が凍らず、大地が顔を覗かせ、生命が生まれる星が現れた。

その星に知性を持ったモノは腰を落ち着けた。



次第に知性を持ったモノの中で一つの考えが浮かぶ。

 「この生命を全て壊したい」 と。

知性を持ったモノはその考えに恐怖し、その考えを押し出してしまう。

そして押し出した考えは自らの体を持ち

知性を持ったモノと同じ姿をしてそのモノの前に姿を現す。

そしてその悪しき知性を持ったモノは生命を破壊して回っていった。



その悪しき知性を持ったモノを止めるため、知性を持ったモノは説得を試みた。

しかし悪しき知性を持ったモノは説得に応じず、ただただ破壊を繰り返すのみだった。

これを見かねた知性を持ったモノは、悪しき知性を持ったモノと対決する心を決めた。



それから太陽が七回昇り、月が七回落ちた。



戦いは延々に続き、このままではいけないと知性を持ったモノが思う。



知性を持ったモノは自らの肉体を四つに分けた。

それぞれはその世界に住まう生命を模して作り

悪しき知性を持ったモノを撃退しようと試みる。

悪しき知性を持ったモノは翻弄され、このままでは負けてしまうと思い

同じように自らの体を四つに分けた。

それぞれはその世界に住まう生命を模してはいるが、明らかに異なる生き物へと姿を変える。

そしてその戦いは太陽が366回昇り、月が365回落ちた。




そして戦いは決着を迎える、両者共倒れという形で。






「あーっ、疲れた。もうやめ」

そう言って小野康紀(おの こうき)はイスの背もたれにもたれながら大きく伸びをした。

壁に立てかけてある時計を確認すると、もう十時になろうとしていた。

明日から期末試験があり、そのために勉強をしていたのだが

日頃あまり勉強をしていないというのもあってか

あまり長時間イスに座るというのに慣れていない。

夕飯を済ませてからというもの、机に向かい日頃使っていない部分の頭を

ずっと使い続けていたため、疲れが出る。

このまま寝てしまおうとも思うが自分の成績の事を考えると

夏休みの大半を補修で費やしてしまうのはシャクだ。

なのでここは我慢してもう一頑張りしようと思う。

イスから立ち上がり、階下にある台所へと向かう。

台所の電気を入れ、食器棚からグラスを取り出し、冷蔵庫から麦茶を取り出しグラスに注ぐ。

飲みながらリビングの方へと向かう。こちらも電気はついていなかった。

リビングの電気をつけ、テーブルに置かれている置手紙を軽く流し見る。





 「今日もお母さんは帰りが遅くなると思います。晩御飯は適当に食べていてください。

 それから期末試験  がんばれ!

                                             by.美人のママより」





父は康紀が幼い時に死別している。

幼かったが故に康紀自身、父との思い出も無く姿も写真でしか見たことがない。

母は再婚せず、女で一つで康紀をここまで育て上げてきた。

そんな母に康紀は感謝はしているが、面と向かってそんな事は言えない。

唯住もそんな微妙なお年頃であった。

 「おかん、まだ帰ってきてないのか・・・」

今日は泊り込みになるのだろうか

折角母のために作った夕飯が明日の俺の朝飯になるのかなぁ。

とふとそんな事を考えてしまう。

あまりこんなところにいてもあまり良い考えは浮かびそうにないので

リビングと台所の電気を消し、麦茶を冷蔵庫に直しながら自室へと戻っていく。




自室のドアノブに手をかけたとき その違和感に気づいた

中に何かいる。そう直感で悟った。




どうしようか考えていると室内からカリカリと音がする。

 「康紀だな、物取りではない、開けてくれ」

聞き覚えの無い野太い声が自室からした。

その声に敵意の欠片も感じられないが、だからといって信用はできない。

 「おーい、開けてくれ。別に何もしないから」

またカリカリという音が聞こえてきた。

自分で開ければ良いだろうと思うが、ここは相手の要求通り開けてやることにした。



ドアを開けたそこには 一匹の大きな犬が立っていた。



大きさは胸くらいだろうか、銀色の毛並みに鋭く尖った赤い目、瞳は銀色で瞳孔は赤。

ピンと張った耳が時折ピクピクと動き、二本の尻尾はドス黒い赤を所々に見せる。

そして纏っている気配にはどこか神々しさすら窺える。

 「お前が康紀だな、すなわち俺の主で良いのだな」

 「い・・・犬が喋った!!」

あまりにとんでもない事態であったため唯住は一歩後ずさる。

 「俺は犬じゃねぇ!!俺の名はレイリム、れっきとしたオオカミだ!!」

そう言って前足を少し前に出し、目を鋭く尖らせる。

 「オオカミでもなんでも良いけど、俺に何の用だ」

 「少し面倒な事が起こってな、唯住(ゆいと)の息子なら素質があると思ってな。

  お前に頼みに来た」

 「確かに唯往は俺の親父だが、それがどうしたんだ?」

 「ならば唯往の力を受け継いでいるな、俺にその力を貸せ」

 「力って何の事だよ。俺は知らねぇぞ!」

 「何?!それは本当か!!」

 「力って何の事だよ!親父は俺が小さい時に死んだし、おかんからも何も聞いてないぞ!」

 「なんだと・・・そうか、仕方ないな」

そうレイリムが言うと俺に尻を向け何事かを呟きだした。



そのときだった、俺の部屋の窓が轟音と共に崩壊し、何かが入り込んできた。

 「おい、お前!なんてことしてくれたんだ!!」

 「な、俺は知らねぇぞ!」

土煙を上げる向こう側に一つの影。そのシルエットは明らかにこの世の物とは別の何か。

その影から声がする。

 「よう康紀、生きてるかぁ~?」

土煙が晴れると中から現れたのは、大きな体に長い尻尾と長い首。

ワニのような顔に鋭く尖った大きな目。

頭部には角が二本生えており、背中一対の翼。

その姿はまるで漫画の中に登場する竜そのものだった。

その背に跨っているのは康紀のクラスメイト。

 「な、お前巴朗(ともあき)か?なんなんだそいつは!!」

 「すごいだろ?こいつぁ~俺の家来だ!すごいだろう?」

彼、杉出巴朗(すぎで ともあき)はそういうと跨っている竜に指示を出す。

竜は大口を開けながら康紀に向かって火球を放ってきた。

 「危ない!康紀!!」

咄嗟に顔を腕で覆いながら身を後へ飛び、眼前から迫る火球を避ける。

後ろには階段があり、そのまま転げ落ちそうになるところをレイリムに受け止められる。

火球は家の柱にぶつかり爆音を轟かせ、柱を燃やす。

 「さぁ、早く乗れ!」

そう言われ、レイリムに跨る。そのまま物凄い勢いで階下へと降りる

途中玄関のドアをレイリムが口から放つ火球によって粉砕し、無事屋外へと出る。

そのまま夜の街を疾走するレイリム。

 「チッ、逃がすか!!」

崩壊した部屋の窓から竜と共に飛び立つ巴朗。

 「何だってんだ?一体何がどうなってんだよ!!」



レイリムの背に跨り、康紀は大声で吼える。天上に向かって、鋭く尖った月に向かって。
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えー、まぁなんと言いますか・・・
ちょっとゲームのシナリオみたいなの作ってみたいなぁと思い
作ってみたお話です

イメージとしてはメガテンだけど、この始め方って
まんま漫画版デビチルなんだよねぇ~とか思いつつ


ちなみにこれを連載する気はさらさら無いです
設定だけ練って遊ぶつもりですよい

まぁ気が向いたら何らかのアクションするかもかもだけどね

ではまた
若菜草@管理人 2007/04/18(Wed)21:27:40 編集
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